もくせい舎とは


もっと自らで体験したい、という思いによって生まれた集まりです

 自らの手で何かを作り出したり、実際に行きたいところに行ってみる、あるいはやりたいことをやってみる、というのは楽しいものです。生きる歓びも、そんなところから生まれてきます。

 でも、このごろはあふれんばかりの情報があって、かえって、そんな楽しさから遠ざけられてしまっているように思います。情報を得ただけで、行った気になる、やった気になる、知った気になる、ということが、あるのではないでしょうか? しかしそんな情報も、同じように、実際には何も体験しないまま知った気になった人が、単に右から左に流しているだけ…ということも多々あります。そんな中で、私たちは様々なことについて最もつまらないやり方で知り、楽しんだ気になっているだけ、という状態に陥っているのかもしれません。

 もくせい舎は、ネット情報によってクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が下がってしまっているのではないか、と感じた人々の、もっと自らで体験したいという思いによって生まれた集まりです。興味の赴くままに旅し、その中で知見を深めたり新たな方法を見つけたりする中で、形にしていこうと思ったことを「石けんプロジェクト」「出版プロジェクト」という二つの柱として立ち上げました。

 自分の手で作り、自分の足で歩いて体験することの面白さと、そこから生まれるものづくりに、あなたも加わってみませんか?

手作り石けんと薬機法

 当舎は過去にCreema、minne、BASEと外部のポータルサイト、ベンダー業者と契約していた時期がありましたが、現在はどこでも販売しておりません。これらのサイトには販売禁止商品の規定があり、薬機法の解釈を巡って、当舎とこれらの企業の担当者との間に見解の相違があったからです。

 薬機法は化粧品、医薬部外品、医薬品につき規定を設けており、各々製造許可が必要で、広告規制と連動して許可のない製品は特定の効能については広告を禁止されるという法律の体系です。こういったものですから、製品の仕様は政令のほか、施行条例や細則、JISなどの規格や通達によって厳格に定められており、それ以外のものを雑貨と言います。

 「特定保健用食品」といった表示や、「〇〇大学医学部推薦」など、権威のある機関の表示が競合する他社製品から大きく抜きん出、製品の販売に大きな影響を及ぼすことは皆さんも良くご存じのことと存じます。

 ですが、このことはその物自体の実際の効能や科学的作用とは何の関係もありません。許可を得て工場を保有しているか、基準を満たした製品を製造しているかだけが問題です。機械化された大量製造と大量販売を生命線とする近代化学工業にとって、製品が薬機法の許可製品であるか、雑貨品であるかは致命的な違いです。化粧品として開発した商品に基準外の成分が用いられ、あるいは成分比が異なり、雑貨品としてしか販売できなければ、販価は低くなり、投資は回収できなくなり、挙げ句は会社が潰れてしまうこともあります。

 三年間続いたコロナウイルスの流行では、国の対策分科会の座長が次亜塩素酸とアルコールによる消毒を推奨していましたが、必要になった大量の消毒剤の多くが実は雑貨品として販売されていたことをご存知でしょうか。次亜塩素酸にはPH調整剤が混ぜられ、高濃度アルコールには乳酸が添加されていました。こうして医薬品としての認定を外すことで、これらの製品は早期に市場に投入でき、安価な大量販売が可能になったのであり、この消毒剤は間違いなく多くの命を救ったはずです。

 マスコミの中には米国CDCの処方による次亜塩素酸水の作り方を紹介したものもありましたが、それで作られた消毒液は雑貨品です。これもメーカーで製造されたのみならず、町の食堂が自ら製造して販売した例もありますが、規制を受けたという話は聞いたことがありません。次亜塩素酸を含む漂白剤はありふれた製品で、コロナの前からどこのスーパー、コンビニにもあったものです。

 そういうわけで、化粧石けんの製造には当然のことながら薬機法の許可が必要ですが、だからといって、それに当てはまらない品物が、さも当然のように「人肌には使用できない」、「人体に有害」、「写真で人肌に使えそうならアウト」という結論(全てBASEの見解・メールあり)にはならないことはお分かりいただけたでしょうか。カテゴリーに当てはまらない品物は単に雑貨になるだけです。

 有名なアレッポの石けんは日本に輸入された当初には薬機法の許可がなく、雑貨として雑貨店で販売されていました。値段も200g500円と安く、純粋なオリーブ石けんで堅く品質も確かな石けんは口コミで評判が広がり、正規輸入に繋がったものです。マルセイユ石けんにも同様の経緯があります。

 もっと資本力と実力のある会社、石けんの工業生産の最初期から存在し、業界に多大な貢献をしたダウ・ケミカル(現ユニリーバ)はビューティークリームバーを販売しています。その成分はJISの化粧石けんの定義を完全に破っており、むしろ合成洗剤に近く、化粧品として認められているとは思いますが、パッケージのどこにも「石けん」や「化粧品」とは書いてありません。何もなければこれは雑貨で、石けんとして認知されていますが、実態は石けんのような何かです。これはアレッポやマルセイユの百倍は軽く売れているでしょう。

 薬機法では許可のない製品は雑貨になるだけです。これらの例にあるように、雑貨であることと、商品それ自体の科学的性質とは何の関係もありません。ここで法を無理に当てはめようとすれば非科学的な結論になり、論理自体が崩壊します。石けん以上に種類の多い入浴剤につき化粧品、医薬部外品、医薬品のいずれかに当てはまると説明しているウィキペディア(2023年現在)がそういう説明の例です。ヨモギの葉やヒノキの皮を売るのに、工場や製造許可が必要でしょうか? 山に伐採に出掛ける度に、製材所でヒノキを製材する度に許可がいるとするのは、ためにする議論です。

 もちろん、薬機法の関連規定には、我々も守った方が良い規定も存在します。使用が禁止されている化学成分や、規定があることで国民の生命身体の健康が守られているもので、これらは最低限度の基準であり、化粧石けんのJIS規格では遊離アルカリ0.1%以下という規定がそれに該ります。同じ規定のエーテル可溶分が3%以上であろうと、石けん分が93%以下であろうと、実害が特にあるとは思えませんが、遊離アルカリだけは日本以外の他の国々でも規制があり、これはPHに直すとおよそ11ですが、これは手作り石けんの世界でも危険を感じるか、制作物それ自体の廃棄を決断すべき値です。

 石けんの教科書では、こういった異常を示す石けんは、けん化の途中で油分が分離したり、切断面もまだらで内部に空隙が生じるとあり、このような現象が生じたら躊躇せずに直ちに廃棄することと書かれています。もくせい舎では完成した全ての石けんにつき、ロットの一部を取り分けて、販売の二週間前に入浴、洗顔、洗髪のテストをしていますが、こんな不良品がテストされたことはありません。異常が生じた石けんはテストに供される前に廃棄されるからです。

 石けんの再生技術を持っている当舎には失敗はリスクではありません。もくせい舎は材料を100%利用しており、失敗した石けんは再生され、再生の過程で良く洗浄されて安全な石けんに変えられ、別の石けんである「犀(もくせい)」として再販売されます。SDGsが流行ですが、環境に優しい石けんを作り、製造でも廃棄物を出さないもくせい舎は、この言葉が一般化する前からSDGsでした。使用が禁止されている化学成分については、故意に入れない限り、石けんの制作に必要なものは特にありません。これらの多くは生分解不可能で、その点でも環境適合性を重視する当舎のポリシーに反しています。

 福岡県の老舗旅館でずさんな管理からレジオネラ菌が大量発生した事件がありましたが、もちろんこれは公衆浴場法違反ですが、温泉と手作り石けんの相性は最高です。温泉は入浴することで人の心と体を癒やすものですが、あいにく良い温泉に当たらなかった場合には手作り石けんが代わりになります。同じように人の手によって支えられ、人の手で作られており、現代社会の病理である苛酷な資本主義社会の論理を超越したこの石けんには、温泉と同じく、人の心と身体を癒す力があります。薬機法の化粧石けんやビューティーバーにその力は全くありません。

 なお、もくせい舎には過去幾度もノベルティ商品やOEM、店頭販売の話が持ち込まれていますが、その都度、事情を丁寧に説明してきたと思いますが、現在の製造能力と相手方店舗の信頼性を考慮して、当面は当舎サイトのみでの販売としたいと思います。また、転売品については当舎は一切の品質保証をしないことも申し添えておきます。当舎の商品は一部の化粧品と同じく、商品を理解している方に取り扱ってもらう必要があり、分かっている方にのみ販売する商品です。

(2023年3月11日 文責・堀内)


もくせい舎 組合事務局
 所在地/〒520-0862 滋賀県大津市平津2丁目4−20ー314サンシティ大津石山
 電話番号/090-3993-0262(河野)
 営業時間/平日午前9時〜午後5時 
 代表・販売・出版担当/河野
 石けん製造指導・顧問/堀内
 組合員/4名以上(準会員含む)
 ※記載の場所では石けんの販売はしておりません。


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